シリーズの前作「
酔いどれに悪人なし」は、あまりにもフォーミュラなネオハードボイルドだった。ほとんどパロディ寸前という趣で、解決方法も「
八百万の死にざま」なみに荒っぽい解決だったのだけれど、そのくせ妙に文体があっさりしていて読みやすかったので、その続きも暇つぶしにちょうどいいかと、何となく購入。
いや、コレは凄い。
一人称視点、露悪趣味、ロジカルな解決の放棄、主人公の救いようの無さ、主人公
以外の妙に魅力的な登場人物……。前作はなんてコトないと思ったんだけど、この本はネオハードボイルドの極北かもしれん。ミステリ好きには勧められないけど、ハードボイルド好きだったら(前作とセットで)読んでおいて損はないかも。
(前作を読んだ上で、こっちにだけ点数を付けるとして) 9/10点