読書感想文

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05-4/26 (火)   ほしのこえ」  新海誠:作

 今さらですが見ました。
解説するまでもないと思いますが、新海誠という人が「一人で作った」ことで話題になった短編アニメ映画(?)です。 ストーリーは色んな所で見聞きした感想からなんとなく想像はついてしまっていたのですが、展開が分かっていてもそれなりに楽しめました。 ワープ航法を使ったワンアイディアの短編としては、なかなかイイ感じなんじゃないかしら。 細かいところをあえて描かずに終わらせている辺りが上手いのか、労力的な限界なのか分かりませんが(笑) 新海誠が元々背景屋さんと言うことで、非常に綺麗な背景を、それほど綺麗でない人物が動き回るのが印象的でした。 まぁ、背景とかストーリーを見る映画だと思うんで、あんまり気にはなりませんでしたが。

 作品としてあんまり重要な点ではないけど、やっぱり僕はロボットアニメはダメでしたよ。 そんな醜い人型兵器を出すくらいなら、 F-14 とか普通の飛行機をそのまま出してマクロスにすればイイのに、とか思った。 エスカフローネとかは平気なのに。なんでかね? ちなみに人型兵器は3Dモデリングで描いてるみたいで、動いても絵はくずれないけど、あんまり動いてなかったような。

 あと、レンズフレアやゴースト(スミアも?)を多用する演出が気になりました。「雲のむこう、約束の場所」でも気になったことなんですけど、「雄大な背景に太陽が入って、六角形の光芒が連なって画面を横切っていく」みたいな演出がたくさん出てきますよね。 あれはあれでなかなか印象的な演出なんですが、カメオタにとっては画面の手前にあるレンズの存在を強く意識させる演出になってしまっています。

 ゴーストやフレアというのは、レンズに強烈な光が入ると、レンズ表面や鏡胴(レンズの筒)やカメラの内側、レンズの縁などで、本来意図しない反射が起きて、それが画面に映りこんでしまうことをいいます。 (もっと分かりやすいかも知れない説明) 原則的には、ゴーストやフレアは発生しない方が望ましいわけですが、写真表現や映像作品において、演出的に用いられることもあります。 「まぶしい日ざし」とかを表現する一種の記号になっているので、今回のようにCGでもたまに見かけます。キラキラの光芒(ゴースト)は、往々にして六角形や五角形の形をしていますが、あれはレンズに内蔵された絞りの形状を反映しています。従って、地球上のシーンではともかく、冥王星軌道や外宇宙での場面でこの演出を見かけると、「あー、五枚羽根絞りのレンズが宇宙に浮かんでるのか〜」というような気がしてきて、とても奇妙な感じ(^^;

 ま、普通は気にしないところだとは思いますけど。 レンズ性能の限界から発生してしまう虚像(フレアやゴースト)が、実際の場面として作品内に織り込まれてしまうこともあるんだな〜と思って感心したというお話。

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Akiary v.0.51