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020831  「そして粛正の扉が    
 研究室の先輩に借りた本。
先輩曰く、「非常に爽快で後に何も残らないのがイイ」ということで、事実その通りの本でした。第一回日本ホラー・サスペンス大賞らしいんですが、だから何なの? 思いのほかちゃんとした伏線もあって、ギミックとしてはちゃんと繋がるわけですが、小説的に期待を持たせるような伏線に対しては、徹底してどうでもいい回収のされ方をする。というか、物語的な要素は全くなく、ただ殺戮の爽快感だけを追求している点のみにおいて素晴らしい。というか、潔い。 あいつが共犯とすると、一部つじつまの合わない部分があるとかそういう引っかかりは実は結構あると思うのだが、そういう点を感じさせない作りが秀逸であると評価するべきだろう。読んで楽しくて、後に何も残らないというのも、場合によっては良い事であるなぁ。

 
030824  「ヴードゥーチャイルド  歌野晶午:著  角川文庫
 「この闇と光」で満足できなかった先輩が持ってきた「正しい答」
……って先輩が言うからにはパズラーなわけで、してみると、この小説の唯一にして最大の謎である「前世」が何であるか、2割も読まないうちにネタが割れてしまうわけです。パズラーに余分なパーツはありませんから。 謎が単発で割れやすいので、ミステリとしてはまぁB級ですな。既に割れてるネタの種明かしのために形式的な手順を踏むあたりが消化試合になってしまっているところに難あり。 まぁ、パズラーだという前提がなければ、もう少し謎が持続する(でも5割は行かないと思う)し、物語的には結構イイので、先入観無く読ば楽しめるんじゃないかと思います。

 ちなみにこの話、ヒロインが義妹です。ストーリー上の必然なんですけどね。
 
030823  「地獄甲子園  映画  
 高校の謎メンツと飲み。しかるのち映画に。

 モノは画太郎の漫画の実写映画化。
野球を愛する人は絶対に見てはいけない。原作読んでないんだけど、画太郎の絵をかなり忠実に実写化したという印象。演出は上手いんだけど、絵が酷くて辛い。

 同時上映の「ラーメン馬鹿一代」は、
本編で弱った観客にとどめを刺す劇薬。この表現をするのは久しぶりだが、人道に関する犯罪級。
 
030822 テレビアニメ  
 なぜか
DNAngel の大輔のモノローグが良かった。
僕はこの風景を知ってる。

誰もいない夜に、
蒼い影を落とした荒野が、
ただそこにあるんだ。

まるで、
時間が止まったみたいなその空間に、
ゆっくりと、音もなく雪が降り続く。

そこだけストーリーから浮いておる。

 あ゛ー!
ムリョウが……高校野球延長で録れてない……。
がんばれ高校球児……(やせがまん)。
 
030820 決戦兵器登場  
 ついにキヤノンがEOS Kiss Digitalを投入。
本体実売12万円台という噂です。普及価格帯のデジタル一眼レフという市場を、キヤノンが先手を取って制圧しにかかったという感があります。いちおう、ペンタックスが*ist Digitalを先に発表しておりますが、人ごとながら大丈夫なんだろうかと心配になります。(メーカーや機種は多いほど楽しいしね)

 キヤノンは「コンパクトデジカメ」→「一眼デジ」という、銀塩で通ってきたのと同じ道のりを目指しているモノと思われます。銀塩を経ずして、レンズ資産という足枷を抜きにして、いきなりこの世界に入ってくるユーザーを獲る、と。
 で、やはり心配なのは *ist Digital ペンタ党(←なぜかペンタックスユーザーはこう呼ばれる) の人にとっては唯一の一眼デジですから。(え、SD9?)

 で、こうなってくると、
プロ指向だと言っていたE-1が、ホントに機材の小型化を至上命題とする一部の特殊用途(山岳とかネイチャーフォトとか?)にしか向かなくなってくるのが面白い。 え、オリンパスだから毎度の事? しかも発売時期が後手に回るし。

 D2HとかDiMAGE A1とか、
最近の乱戦模様は実に楽しい限りだが、こうなってくると本当に買わなければならないのはコレだろう。これが高いという人は高価なカメラを買わなくてよろしい。
 
030818 テクノスケープ  
 某先輩の要望で、
穴埋めカット用に、テクノスケープ分の高い写真を撮ってくることになったのだが。家にあった同時プリントの束(推定約2000枚)を眺めてみると、中には結構イイ写真があるのだが(まぁ、こんなに撮ればね)、自然や生物を被写体にした写真がほとんど。いちおう、父島のNASDA 衛星追跡アンテナとかあったので、そのうちスキャンしてアップしておきます。

 ご存じかもしれませんが、
工場・炭坑・廃屋・廃墟ウェブリングなんてものもあるので、よかったらどーぞ。

追記:写真あげました。
 
030817 お祭り  
 本業が煮詰まってしまったため、
知人の出店を見物するべく、お祭りを見物に行く。

 特にコレといって目的もなかったため、
行って何を買うという事もなかったのだが、挨拶しに行った人に「君の好きそうなメカモノは今日ではない」などと言われ、色々基本的な事を教えてもらったりする。「カノントータス戦場写真集」なるものが売られていたらしい。こ、これは……欲しぃ。今度は予習していくかも。

 帰りは珍しく水上バス。
水上バスの水面すれすれの視点から見る風景はなかなか印象深く、すっかり観光してしまった。東京生まれの東京育ちなのに……。普段使う都営バスからの風景も割と好きだけど、余裕があれば水上バスもいい、と思った。

 そのあとの世間話で、
ゾイドバトルストーリーの復刻版が出ている事を教えてもらい、帰るなり予約してしまった。あまりに欲しかったため、よく確かめずに定価で購入してしまった。不覚。しかし、限定数1万というのは、捌ききれずに店頭に出るかもしれない……が、確実と言うほど当てにはできない……という数で微妙。まぁ、買って後悔はしないだろう。
 
030817  「ビートのディシプリン Side2  上遠野浩平:著  電撃文庫
 連載だったんだ。
15ヶ月も前の話なんて忘れたぞ。

 まぁ、それはさておき。
上遠野浩平もすっかり普通の人情モノが書けるようになったようだ。
 
030816  「涼宮ハルヒの憂鬱  谷川流:著  角川スニーカー文庫
 話題になっとるから読むというのも志が低い(笑)
スニーカー大賞の数年ぶりの大賞受賞作らしいです。

 印象としては、
ラブコメ+胡蝶の夢、みたいな話。普通のSFだったら、これって覚醒してしまうところだと思うんですが……。世界が根底からひっくり返るような事があって、それでも元の世界に戻る、なんて話があるだろうか? と思ったら、ありましたね、トータルリコール

 数年ぶりの受賞作ということが、
いかに選考陣がラブコメスタイルに固執しているかを示しているように思える。そう思ってみると、ストーリーもなんというか、徹頭徹尾保守反動なのである。スニーカー大賞などという有り難くもない看板さえもらわなければ、読後感が微妙にすっきりしないだけの、普通に読めるラブコメとしか思わなかっただろうにと、ちょっと可哀想ではある。
 
030816  「ポストガール 2  増子次郎:著  電撃文庫
 前巻同様。
終わり。 というわけにも行かないので、もう少し書くが、「人間と似てるけどちょっと違う」モノを通して人間を描くという意味では、恐ろしくストレートなSFです。 人外好きの私としても、ここまでストレートだとチトたじろぎます。 いや、好きですけどね。

 ちなみにオススメは、
書き下ろしの「フェスタ」。祭りの中でシルキーが感じる孤独感は良く分かるというか。 「ポスト・ガール」のダブルミーニングで「ニューロマンサー」を思い起こしたが、どう考えてもそれほどではないよな。

うぉ、絵描きが変わっとる。
 
030816  「イリヤの空 UFOの夏 4  秋山瑞人:著  電撃文庫
 前巻の終わりが終わりだったため、
まぁこんな展開になるのではないかと思ったのだが、あにはからんや。というわけで、2章「最期の道」が終わるまでは、つらい消化試合だったわけだが、これを実験がうまくいかなくて毎日ジリ貧で予定していた実験をすっぽかして休みにしてしまいたっぷり凹んでいる日に読む事になるとはいかなる因果か。

 いや、そんなことはいい。
このシリーズは、どこを読んでも実に巧いな〜と思うんだが、こう、若い頃は良かったね話を歳食ってからも書ける人というのはどういう人なんだろう。 記憶で書いているのか、創作で書いているのか…。 自分は、どうも、中高生の頃の記憶が、あまり、ない。無闇と楽しかった事は、覚え、て、いる、の、だが……。病気?

 オチについては、
オチとしては他に考えられないが、収集の付けっぷりがものすごく急だなと思わなくもない。
 どうでもいいことだが、
登場人物「榎本」の自分内イメージが企画七課の内海課長だったため、本巻の「榎本」の挿絵がえらくやさ男に描かれていたのが残念であった。
 
030816 語るに落ちる  
 アリーマイラブの再放送をやっていたので見ていたら、
その後に続いて「真剣十代しゃべり場」が始まった。この番組どう見ても、青い若者達の若いが故のイタい本音を晒し者にしているだけの企画にしか思えないので、普段は絶対見ないのだが、今日のテーマは「お金が無いと幸せになれないか」だった。なんでも、問題提起者は「みんな金が無くても幸せなんて言ってるけど、それは甘い。その点をしっかり説教してきてやる」だって。

 君ね、「金が全て」ならそれでイイじゃない。 なんで他の人の価値観に説教たれる必要があるか? 独りで「金が全て」って言ってるのが寂しいからだろ? 語るに落ちとるやんけ!

 完成された商人はな、他人の共感を得られるかどうかなんぞ頓着しないんだよ。全宇宙に自分1人しかいなくても、それが利益になるなら、黙って商売に全てを集中できるのが商人なの。甘い価値観持ったヤツがいれば、それを商売のネタにしようと思うべきなのに、あろうことか説教してしまうようなヤツは、自分自身が甘い。 「夢追って30でフリーターで、それでどんな女が寄ってくるのか」って、君ね、目的が金じゃなくて女だって自分で言っちゃってるじゃないの。目的と手段を混同するようでは、まっとうな商人とは言えんよ。

 などと言っている私自身は別に商人じゃないので、そういうのに頓着していてもいいのだ(笑)

 本題の議論が始まる前にテレビの電源を切ったのは言うまでもない。
 
0208 敗戦の日  
 敗戦記念日です。
起きたら午後2時でした。この件に関しては何もコメントはありません。
 
030814 トラウマ  
 同じ映画館裏で徹夜した身として、
そのえもいわれぬ感覚、トラウマは同情して余りある。泣きそうになった。
 
030809  「第六大陸 1  小川一水:著  早川文庫
 月開発SF。
いまどき有り得ないくらい饒舌な文体が特徴的。さらに言えば、いまどき有り得ないくらいの、科学技術の進歩への楽観的な展望が特徴……は、結構なのだが、(おそらく作者の意に反して) それがむしろ、テクノロジーを軽く見せているきらいがある。

 その安っぽさを例えて言うなら、「プロジェクト トリプルX!」みたいな感じ?

 凄い新技術で目標を達成! というのは、可能ならまぁそれでも良いのだが、技術開発というのは必ずしもそういったものでもないだろう。 宇宙開発モノとしても、技術開発モノとしても、「星のパイロット」とか「クレギオン」とかより軽いような気がするのは小説技法がへっぽこだからか? いや、むしろ筆者の科学技術に対する素養? なんとなく技術に対する愛は感じるんだけども、片思いではないかと。

 とはいへ、技術者の動機として「それが可能だから」と言わせているのは、この上もなく正しい。そういった点に関しては認めてあげたいのだが。とりあえず次巻に期待。
 
030807  「この闇と光  服部まゆみ:著  角川書店
 研究室の先輩に借りた本。
前半部分で引っ張ってきたことを、後半で一気に解決していくわけだが、それまでの美しいストーリーに反して解決の提示のしかたが劣悪。これだけのストーリーが勿体ない。ラストに関しては、先輩は気に入らなかったようだが、私はこれはこれでアリだと思う。もっといい落とし方があったのではないかというのは否定しないが。
 
030805 久々更新  
 久々の更新です。
去年の8月からこのサイトで日記をつけているので、ファイル名がだぶってしまいました(←場当たり的)

 それにともなってディレクトリ構造を改変しました。
すでにご覧の通り、途中に「年」のディレクトリが入るだけなんですが。そのせいでサイト内のリンクが切れたりしておるかもしれませんが、適当に読み替えてご利用ください
 
030802  「グラン・バカンス  飛浩之:著  早川書房
 放っておけば普通にいい話になりそうなモノを、
与えられた役割・設定にしばられながら。それでも終わらない夏を彼らなりに生きているAI達は実にいい。 しかし、清新で、残酷。それは自体は結構だが、「残酷」がグロすぎる。なんとなくやりすぎたホラーを思わせる。

 部分的にはいい話で、かなりの部分グロい話だが、まぁ、なんだかんだで面白い話ではある。

ハッピーエンドが読みたいんだよな〜。
 
030801  「超人計画  滝本竜彦:著  角川書店
 ナンでこんなモノを???
いや、書いた著者も、出した出版社も、そして買った自分も。

なんかもはやコメントはないが、脳内彼女にレイって名前を付けるのはやめろ!

俺は違う! こんなのとは違う! とか言うとよけい泥沼?
 
030801  「銃夢 Last order 4  木城ゆきと:著  集英社
 宇宙時代の空手家が笑える。

超電磁ぃ〜、逆突きぇ〜!

アレでどうせぇっちゅうねん(笑) 完全消化試合。 次巻待ち。 というか、早く前作買お。
 
030801  「鉄腕バーディー  ゆうきまさみ:著  小学館
 リメイク版。
買うつもり全くなかったのだが、本屋に行ったついでに買ってしまった。連載がコケた後で、完全新作を描く余力は無いのか? ゆうきまさみの視点って、上の人にも下の人にも距離があるんだよな〜。 ま、いずれにせよこの段階でどうこう言っても仕方ない。 次待ち。
 
030801  「踊る大捜査線 The Movie 2  映画  フジテレビ
 今回の裏テーマはサバゲーです。
というのは、まあ嘘でもないと思うが。相変わらずのどうでもいい事件をタネに、相変わらずの「現場」vs「キャリア」の対立を巡って、相変わらずのお役所仕事を笑いながら進むという展開は固定的。毎回上が悪いという構図も芸がないんではないか? ウケるだろうけど。
 ……しかし、組織において上の命令に下が従わなければ組織が立ちゆかん。使えない上司だと思っても、有り物の人材、有り物の権限、有り物の上司をやりくりしてマネージメントするのが現場の才覚だし、下からの情報をうまくあげられず、いたずらに現場の不評を買うような上司は、そもそも上に立つ物としての能力に欠けている。上は現場が無能だろうと何だろうと結果の責任を負わねばならんし、現場は上が事なかれ主義のクソ野郎だろうと何だろうと日常の業務をこなさねばならん。 縦割りの組織が悪いのではなく、単に個人の能力の問題なのだ。(いや〜まるでどこかの研究室のような……んがぐぐ)

 ……と、思いながら見ていたら実際そういう話だった。
まぁ、それは結構なんだが、敵役の女性キャリアの態度が無意味に意地悪なのはどうかと思うが。 「事件は現場じゃなくて、会議室で起きてるのよ」なんて、全く意味が無いじゃないか。なんとなく女性一般に対しても失礼なように思える。対する室井サンも現場に丸投げしすぎなような。

 そんなことはどうでもいいのです。
ナンだよ、室井サンだって東大閥じゃないったって、東北でしょ、帝大さんじゃないすか。ウチら庶民には無縁の話ですよね……などと思いながらて見ていて、ふと自分(の大学)のポジションってこの映画でどの辺だ? とか考えてしまう。 もちろん、キャリアではない。現場には違いないが前線でもない。 淡々と人目につかない後方支援を……コンピュータエンジニアとか?

 図星。

 パンフレット買ってみたら、登場人物の学歴そのほかのプロフィールが紹介されているのだが、地下室で監視装置のエンジニアやっていた小泉孝太郎がウチの大学の博士課程卒(という設定)だった。世間のイメージって……。
 ふ、所詮世の中を変えるのは、政治でも個人でもなく、テクノロジーとシステムよ……などとうそぶけなければウチの大学の人間として資格十分とは言えない(苦笑)


 以下余談。
作品内広告が目立ちすぎるんだよな〜、はいはい、サントリー、日産、東芝さんとタイアップね〜、みたいな。マーチのパトカーは可愛らしかったけど、やや興ざめ。 筧利夫の出番が少なくて惜しい。 柳葉敏郎のカットは全て前回までの撮りだめの編集で何とかなるんではないかと思うほどの不変っぷり。そういう意味でも室井さん存在感薄し。ていうか、監視社会に対するお咎めはナシなんでしょうか? そういう重い話かと思って一瞬期待したのに…。
 ま、何でもいいけどな。楽しめたし。