読書感想文

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07-1/4 (木)   パプリカ」 映画

筒井康隆の同名小説のアニメ化。 原作は読んでいない。
別の用事で転叫院と会った日に、時間が余ったので一緒に見に行った。

「悪夢」を物凄く頑張って映像化しました、みたいな映画だった。物凄いボリュームの「悪夢」の映像を見ると、むしろ、この活字版があるというのが想像出来ないくらい。アニメーションはマッドハウス。映像的には、かなり見応えがある。ストーリー的には普通、ないしは、若干喰い足りないかなと思うくらい。転叫院によると、原作は相当分厚い本らしいので、そこを縮める都合で色々抜け落ちてしまったのかも知れない。 監督の今敏の作品は、これと「パーフェクトブルー」しか見てないが、聞く所によると、他の話も割とこんな感じらしい。この人こんな悪夢じみた話しか撮れないんだろうか。  映像、ストーリーのここそこに、「イノセンス」みたいなイメージがちらほら見受けられた気がした。 ちょっと似すぎかも(笑)

作品の出来とは関係ないけど、転叫院と「研究室の人間関係とかの表現が微妙にリアルで嫌(苦笑)」というような話をした。あと声優陣は、役とは合ってるんだけど、聞き飽きた人ばっかりだなぁ、とか思った。

音楽の平沢進は本物の天才かもしれない。

映画と関係ないが90分ほどの本編に対して20分も予告編が見られた。嬉しい。
全体的には可もなく不可もなく(6/10点)

07-1/6 (土)   「ストロベリー・パニック!〈1〉」  公野櫻子:著  電撃文庫
           「ストロベリー・パニック!〈2〉」  公野櫻子:著  電撃文庫
           「ストロベリー・パニック!〈3〉」  公野櫻子:著  電撃文庫

忘年会で是非読めと勧められた本。
薫の2006年ライトノベルオブザイヤー らしい。

1巻だけ読むとキャラクターの人数が多い割に書き分けもイマイチで平板な印象を受けるかも知れないが、2巻以降キャラクターの描写が積み重ねられるに連れて、にわかに面白くなってくる。かくいう自分も1巻を読み始めたときは、「女子校の百合物かぁ…」と思ったのだが、2巻、3巻とストーリーが盛り上がってくると、そんなことはどうでもよくなってきた。

これを言ってしまうとネタバレになるかもしれないけど、ママゴトじみた学校内社会での、少女達の恋愛ごっこ……のように見えていた世界が、一気に覆され、登場人物それぞれの事情、それぞれの思いが交錯する3巻の展開は圧巻。間違っても1巻2巻で投げ出す事の無いように。

……という配慮で3巻セットで買うように勧めてくれた薫は親切だなぁ。
3冊セットで(8/10点)

07-1/7 (日)    「とらドラ4!」  竹宮ゆゆこ:著  電撃文庫

結局のところ、
竜児と大河が馴れ合ってるのを見ると安心する小説なんだよな、これ。

その馴れ合い小説が、普通の青春小説に変化して、新たな展開の予感……なのかもしれない。 実乃梨の独白、亜美が見せる本音(たぶん)、大河の心境の変化(の予感)、なかなかいい感じだとは思うんだけど、今回みたいに主要登場人物5人のみに絞ってしまうと、ちょっと窮屈な感じがすると思った。 生徒会長とか見たいな。


いや実乃梨の独白はステキなんだけど(6/10点)

07-1/8 (月)    「“文学少女”と死にたがりの道化」  野村美月:著  ファミ通文庫

ああ、これは何というか、良かった。

色々含みも残してあるので、それは今後のシリーズで、てことなんだろう。

太宰治って、「人間失格」以外何か読んだかなぁ…。
 大概の作品は青空文庫で読めるので、ちょっと読んでみよう。

遠子先輩が可愛らしすぎる(8/10点)

07-1/12 (金)    「国境の南、太陽の西」  村上春樹:著  講談社文庫

はいはい村上春樹、村上春樹…。

スケール感のあるタイトルに、スケール感の無い本文。
どこで中断しても引っかかり無いし、読んでいて退屈でもない。
良い意味で暇つぶしに最適。

期待通り(6/10点)

07-1/13 (土)    「“文学少女”と飢え渇く幽霊」  野村美月:著  ファミ通文庫

病気に頼りすぎる、人死にを飾り立てる傾向、叙述トリック、

ミステリ(仕立て)の小説としては嫌いな要素が多いはずのシリーズなんだけど、
遠子先輩のキャラクタが愛らしすぎるのと、ラストが一瞬だけ綺麗な所に惹かれて、やっぱし好き。

中盤ダレる感あり(7/10点)

07-1/14 (日)    「“文学処女”と繋がれた愚者」  野村美月:著  ファミ通文庫

基本的な感想は2巻と一緒。

キャラクターが出そろってきて、シリーズ的には盛り上がり始める所じゃないかしら。琴吹さん可愛いなぁ、とか、竹田さんいいキャラクターだなぁ、とか。主人公のトラウマは、なんか大したこと無いっぽいし、死んだと思ってた人も生きてたっぽいし、ここでも「病気に頼りすぎ」の印象はぬぐえないんだけど、まぁそんなことはどうでもいいわ。

琴吹さんはかわいいし、遠子先輩のクッキーの下りも良かったし。

……なんか自分が本当にキャラ萌え原理主義で、場面の綺麗さだけを追い求めてることが分かるね。
でもそれで満足(8/10点)

07-1/19 (金)    「ときむすび」  築地俊彦:著  ファミ通文庫

なんか友達から借りてきたのを忘れてた。ので読んだ。

前半は楽しくも退屈な学園生活、後半はすごい勢いで非日常展開。
……という構成はストーリーの都合上、大変合理的だとは思ったけど、登場人物の動機に無理がある点が散見されるような。しかも激烈なクライマックスはちょっと、「作者の悪意」というか「ストーリーの都合」が見えてしまうくらい。これを「歴史改変を目論んだ報い」で済ませるのは微妙な感じも…。

でも、前半が「こう」でなければならなかった理由が明らかになる下りは、実に良かった。

消えてしまった世界についての責任感とか、問題意識とかははっきりしないけど、でも真依亜が、そういう自分本位な行動を取らなければならなかった胸の内が伝わってくる所は、良くできてると思う。不幸量保存則的な世界観について、敗北主義的だと言うことは出来るかも。
まぁ何だかんだで悪くはない気がする(7/10点)

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Akiary v.0.51